財全GROUP PRESENTS「Build The Future」。本特集は、WEBメディア「HUB沖縄」と財全GROUPの特別企画です。財全GROUPが経済 / 経営 / マネーを軸に、沖縄の未来を築く輝かしい人びとを紹介しています。特集記事はHUB沖縄へ掲載されたものです。
ICT活用で海外にも学び提供 開設40年
公文式沖縄照屋教室が開設40年を迎えた。今年2月に教室運営を引き継いだのは、同教室創設者の娘である金城円さん(40)=那覇市。元教員の経験を活かして日々、奮闘している。コロナ禍で需要が高まったICTを活用したオンライン指導やアットホームな雰囲気が好評だ。
「歴史・文化を守りつつも、時代のニーズに沿ったICTの導入や、子どもたち一人ひとりの個を引き出すコーチングを取り入れるなど、私らしいカラーを出していきたい」と目を輝かせた。
時代と共に変化する老舗の公文教室の今と展望を聞いた。
国境を越えて母国語を指導。タイの生徒へオンライン教室
公文式の教室でも、40年続け、さらに親子で受け継いで運営をしていくのは珍しいという。沖縄照屋教室は県内300近くある教室でも生徒数が多く、一目置かれる存在だ。
そのきめ細やかな学びの提供は、沖縄にいながらにして海外にまで届けられている。国際結婚しタイへ移住した保護者から、「子どもに日本語を覚えさせたい」と相談を受けて週に1回、オンラインで学習を支援している。算数と国語の教材は国際便で事前に郵送。初めての試みだったが、ICTを活用して時間や場所の制約をクリア、iPadと携帯を併用して日本流の公文式を届けている。
元英語教諭としてグローバルな視点で教育に携わってきた。「英語教育も“世界をつなぐ”というミッションでやってきた。世界各国に学び場を展開する公文式を通して、地球の明るい未来を創造する人材を育成したい」と意気込む。
コロナ禍で加速したICT活用。工夫と課題は?
このように、オンラインを活用した学びのメリットを金城さんは身を以って知っており、それこそが公文式沖縄照屋教室の強みでもある。
金城さん自身もITへの関心は高く、学校のテクノロジー教育を支援する(一社)沖縄STEM教育センターで理事を務めたり、プライベートではZOOMを活用したオンラインイベントでファシリテーター(司会進行)を担ったりしている。
オンライン指導の課題は、実際の教室より声が遠いことだ。子どもたちとスムーズにコミュニケーションできるよう、今後はオンライン教室用に音響面などを整えたブース設置も検討しているという。また、コロナ禍でマスクを着用しているため、子どもたちが先生の口の動きを読むことも難しい。「対面の時と変わらず豊かなコミュニケーションが図れるよう今まで以上に目配りしています」。
コロナをきっかけに社会が目まぐるしく変化したことで、改めて教育や人材育成の意義や目的と向き合った金城さん。「コロナ禍でも、どんな時代・どんな社会でも、自分で課題に対する答えを導き出せるようになってほしい」と願っている。
個を引き出すコーチングで子どもの“好き”を見つける
金城さんが日々心がけていることは、子どもが教材のどこに興味関心を持つのかをしっかり目を配り、子どもの“好き”を見つけることだ。「ただ教えるだけではなく、学習を通じて一人ひとりの特性や強みを引き出したい」と話す。
また、集中して学習できるように安心・安全の教室作りにも余念がない。教室に来た日の子どもの表情や学習に向かう姿勢に合わせて指導のペース配分も気をつけている。「子どもたちの自主的な学びへの意欲を、環境作りや(興味関心の)橋渡しで育てたい」と考えている。
人材育成と社会実践の場づくりが使命
金城さんには子どもたちの学びについてもう一つ、プライベートの一環で力を入れていることがある。子どもたちが習得した知識や経験を社会実践する場をつくるため、オランダ発祥の人材育成・組織開発プログラムなどを提供する「SAMI-Japan」の代表として、国内外の教育関係者と未来の学びや教育事例などを紹介し合うオンラインイベント等にも取り組んでいる。
「これまで育ててきた人材を社会がどう受け止めるかを常に考え、一社会人として未来を創る子どもたちのための受け皿を作りたい」。金城さんが育むのは子どもたち自身のみならず、子どもたちが生きる未来の社会そのものでもある。
本記事は、2021年5月17日にHUB沖縄へ掲載されました。